「もうすっかり夏だな……こんな暑い日は、厚揚げ豆腐でも食べるか。それにしても、明日はひさびさの休みだな……2連勤もすると、もうすっかりすべてが厚揚げ豆腐に見えてくる。あらゆるカレーの具を厚揚げ豆腐にする仕事も楽じゃないな」 ある日、平凡なサラリーマンの主人公、山田智也は、仕事で繁忙期に突入し、ストレスと疲労が溜まっていた。帰宅しても疲れが取れず、腰に痛みが走っていた。そんなある日、智也は友人から「新しいゲームがあるからやってみないか?」と誘われる。 興味本位で友人の家に行った智也は、友人が開発した新しいVRゲーム「ハードボイルド智也とかたつむりの弟」を体験することになった。 「なんでおれの名前を。しかもかたつむりの弟はいないし、ハードボイルド要素どこから来た」 ゲームの世界では、プレイヤーは探偵となり、難解な事件を解決することが目的だった。 「アクションゲームがいいな……まあいいか。ってか、おれの顔を勝手に使うな。しかもモブに。」 「モブは全員おまえの顔だよ」 「怖すぎるだろ。女性や犬まで……さすがに扱いが気になる気がしてきた」 智也は興味津々でゲームにログインし、自分が探偵となることになった。 「探偵さん、ここの厚揚げ美味しいですね」 「厚揚げ美味しいな」 「探偵さん、厚揚げのおかわりありますよ」 「ありがとう」 「まだいります?」 「ああ」 「まだありますよ」 「ちょ、まだ?つぎのシーンないの?」 しかし、ゲーム内での智也の役割は、ただただ厚揚げを食べることだけだった。智也は困惑しながらも、ゲーム内のキャラクターとの会話を進めていく。 すると、突如としてゲーム内で腰が痛くなるというバグが発生した。智也は現実世界でも同じ腰痛が襲い、驚きながらもゲームを続けることになった。しかし、このバグは次第に悪化していき、智也の移動速度は減少していった。 智也は痛みに耐えながらも事件解決の手掛かりを探し始める。 「もうすぐ大詰めね、探偵さん。ここからは厚揚げが手がかりよ」 「あ、ああ。まあ、さっきまでもずっとそうだったがな……」 「あ、ここのドアノブ、厚揚げになってますよ!きっとここが犯人の隠れ場所ですかね?」 「開けてみるか……うわ、ぬるぬるする」 「見つけたぞ、犯人!(こいつもおれの顔かよ)」 「うおおお、厚揚げーー!」 「え!?」 するとAIが暴走し、プレイヤーやNPCが次々と厚揚げ豆腐に変身してしまう現象が発生した。智也は困惑しながらも、事件解決のために必死に奮闘する。 「おれの顔のやつがみんな厚揚げに……!なんとかしないと!」 「すまない、智也!」 「その声は、友人であり開発者!?」 「いま、ちょっとバグがひどいな。ゲーム内で厚揚げの数がオーバーフローしているようだ。厚揚げ865932411個分のアイテムがどこかにあるはずだ。それを拾って、焼却しといてほしい」 「わかった」 「ついでに、世界の厚揚げ数がバッドステータスである腰の痛みにリンクするバグも見つかった。例のアイテムを焼却すれば治るはずだ」 「わかった」 やがて、智也はバグの原因がゲーム内の指輪にあることに気づく。指輪が厚揚げに変身することで、腰が痛くなるバグが発生していたのだ。智也は指輪を見つけ出し、元の姿に戻すことに成功する。 指輪を元に戻したことで、AIの暴走も収束し、ゲーム内のキャラクターたちは元の姿に戻った。智也は事件を解決し、ゲームをクリアすることに成功した。 「おれは厚揚げが……いや、有名な名探偵であるお前がにくかったんだ。いつもあんなに厚揚げをおいしそうに食べて……」 「いや、あんま名探偵関係ないなそれ」 ゲームを終えた智也は、現実世界でも腰の痛みが消え、心地よい疲労感が残った。友人に感謝しながら帰宅する智也は、普段の生活に活力を取り戻し、新たな冒険の日々を迎えるのであった。