鬼人症と呼ばれる病気は、鬼の末裔である特定の一族にしか発症しないと言われている。その病気が発症すると、患者は殺人衝動に襲われ、自分の心臓が壊れるまで人を殺し続けるという恐ろしい症状が現れる。 ある日、その病気に冒された女の子・結衣は、殺人衝動に駆られてしまった。彼女の周りには警察官たちが結集し、彼女を制止しようとするが、その力ではかなわなかった。絶望の中、結衣は自分を助けてくれる誰かが現れることを願っていた。 そのとき、結衣が心の底から想いを寄せていた翔太郎が現れた。彼もまた鬼の末裔であり、結衣の病気を理解していた。翔太郎は結衣の心臓を優しく抱きしめながら、彼女の願いを知っていた。 「結衣、俺が最後まで守ってあげるよ」と翔太郎は囁いた。 結衣の瞳には涙が滲んでいたが、彼女は翔太郎の言葉に少し安心したような表情を浮かべた。彼女は自分の心臓が壊れる前に、大切な人の手で死にたかったのだ。 翔太郎は彼女を優しく抱きしめながら、手に持っていた小さなナイフを取り出した。彼は自分の心臓を押し当てるようにして、結衣の心臓を優しく刺し入れた。 結衣は痛みを感じることなく、翔太郎の胸の中で静かに息を引き取った。彼女の願いは叶ったのだ。彼女は自分が愛した人と共に永遠の眠りにつくことができた。 翔太郎は結衣の亡骸を抱きしめながら、胸の中に思い出を刻んだ。彼は自分が殺した人間の罪を背負いながらも、彼女の幸せを願っていた。 その後、翔太郎は自らの命を絶つことを決意した。彼は結衣と同じように、自分の心臓が壊れる前に最期の瞬間を迎えたかったのだ。 二人の亡骸は、互いの手を握り合ったまま、穏やかな表情で横たわっていた。彼らの愛は、鬼人症という呪いを超えて、永遠に続いていくのだった。