とうまは幼い頃から特異な病気に悩まされていた。それは「羽子病」と呼ばれるもので、彼は自分の背中に羽が生えていると信じ込んでいた。毎日のように高いところから飛びたい衝動に駆られ、無意識に飛び降りを繰り返していた。 彼が小学一年生の頃、学校の屋上から飛び降りることによって初めて羽が生えるのだと信じ込んでいた。周りの人々は心配そうに彼を見守りながらも、とうまはその思いを断ち切ることができなかった。一度飛び降りると、次はもっと高い場所から飛びたいという欲求が募るばかりだった。 とうまが高校生になっても、彼の羽子病は治ることはなかった。彼は学校の屋上から飛び降りることを日課とし、周囲の人々にはその行為を止めさせようとする者もいたが、とうまは聞く耳を持たなかった。彼は羽が生えていると信じて疑わず、高いところからの飛び降りを続けた。 そしてとうまが高校三年生の誕生日を迎えた日、彼はいつものように屋上から飛び降りることを決意した。しかし、この日は彼にとって最後の日となることを彼は知る由もなかった。 とうまは心臓を痛めていた。羽子病による無理な飛び降りが彼の体を徐々に蝕んでいたのだ。高校三年生になっても辞めることなく飛び降りを続けた結果、彼の体は限界に達していたのだ。 とうまが屋上から飛び降りる瞬間、彼の心臓が悲鳴を上げた。それはまるで木の枝が突き刺さるような痛みだった。とうまは苦痛に顔を歪めながら地面に叩きつけられ、そのまま息を引き取った。 彼の最期は無残なものだった。羽子病に取り憑かれた少年の末路として、彼の死は人々に衝撃を与えた。彼の家族や友人たちは悲しみに暮れ、なぜとうまがあんな行動を取り続けたのか、その真相を知りたくてたまらなかった。 しかし、とうまの死には明確な答えはなかった。彼がなぜ羽が生えていると信じ込んで飛び降りを続けたのか、その理由は誰にも分からないままだった。 羽子病は謎に包まれたまま、とうまの死は人々の心に深い悲しみを残した。彼の最期を通じて、人々は病気に取り憑かれた人々の苦しみや心情に思いを馳せることとなった。 とうまの死後、羽子病による飛び降り自殺が増えることはなくなった。しかし、彼の存在は人々の記憶に深く刻まれ続け、羽子病という病気についての研究や対策が進められるきっかけとなった。 とうまの死は悲劇的な結末ではあったが、彼が残したメッセージは忘れられることはない。人々は彼の最期を通じて、大切なことを学び、同じ過ちを繰り返さないように努めるのだった。