寒い冬の夜、街は静まり返っていた。空は暗く、星も見えないほどの厚い雲に覆われていた。街灯がうっすらと明かりを灯し、その光が雪の結晶に反射してキラキラと輝いていた。 街の一角にある公園には、一人の少年が立っていた。彼の名前は悠斗(ゆうと)。彼は冷たい風にさらされながらも、空を見上げていた。少年の頬は赤く染まっており、寒さに耐えるために手をポケットに突っ込んでいた。 「なんでこんなに寒いんだろう…」 悠斗は小さな声でつぶやいた。彼は孤独を感じながらも、この寒い冬の夜に何かを探しているような気がしていた。 すると、突然、風が強く吹き始めた。吹雪になりそうな勢いの風が彼の体を揺らし、髪を乱した。悠斗は驚きながらも、その風に身を委ねた。 風が収まると、悠斗の目の前には一輪の雪の花が舞っていた。その雪の花は美しく、まるで命を宿したように輝いていた。悠斗はその美しさに心を奪われ、手を伸ばして花を掴もうとした。 しかし、彼の手は空を掴むようなものだった。雪の花は彼の手のすぐ先で消えてしまった。悠斗はがっかりとした表情で手を下ろすと、再び空を見上げた。 すると、そこには大きな雪だるまが立っていた。その雪だるまは優しそうな笑顔をしており、悠斗に手を差し出していた。 「こんにちは、悠斗くん。寒くないかい?」 悠斗は驚きながらも、雪だるまに手を差し出した。すると、彼の手には暖かさが広がっていた。雪だるまの手は冷たいはずなのに、なぜか暖かさを感じるのだ。 「どうして…?」 悠斗は不思議そうに尋ねると、雪だるまはにっこり笑って答えた。 「それはね、僕はこの寒い冬の夜に、人々の心の中にある温かさを集めて作られたんだよ。だから、僕の手はいつでも温かいんだ。」 悠斗はその言葉に心を打たれ、雪だるまに感謝の気持ちを伝えた。そして、彼は再び空を見上げた。 すると、空は一瞬で明るくなり、星が一つ、また一つと現れていった。悠斗はその美しい光景に感動し、心が温かくなった。 「ありがとう、雪だるまさん。これからも、寒い冬の夜でも温かさを感じられるように頑張ります。」 悠斗はそうつぶやきながら、雪だるまと手を繋いで歩き出した。彼の心は冷たい冬の空が落ちてきた寒さから解放され、新たな温かさに包まれていたのだ。