2023/08/13 07:27
短編小説「宇宙人と唐揚げ」
ある晩、静かな町に突如として異変が起こった。宇宙人が空飛ぶ円盤に乗って地球に攻めてきたのだ。恐怖と混乱が広がる中、人々は自衛のために全力を尽くしていた。 その中で、一人の男性が異彩を放っていた。彼の名前は健太郎。小さな居酒屋で働いている普通のサラリーマンだ。健太郎はいつものようにフライヤーで唐揚げを揚げながら、宇宙人の攻撃に立ち向かっていた。 「ほら、これで宇宙人もおとなしくなるぞ！」と健太郎は笑いながら唐揚げを揚げ続ける。周りの人々は彼の姿に驚き、不思議そうな表情を浮かべていた。 「健太郎さん、本当にそれで大丈夫なんですか？」と近くの女性が尋ねる。健太郎はにっこりと笑って答えた。 「大丈夫さ、唐揚げにはすごい力があるんだよ。昔から言われているじゃないか、『唐揚げは万能』ってな。宇宙人もこれでおとなしくなるさ」 周りの人々は健太郎の言葉に半信半疑だったが、彼の勇気と信じる力に触発され、彼らも一緒に唐揚げを揚げ始めた。 すると、突然宇宙人の攻撃が止まった。空に浮かぶ円盤からは不思議な光が放たれ、周囲が静寂に包まれた。人々は驚きながらも安堵の表情を浮かべる。 そして、宇宙人たちは円盤から降りてきた。彼らの姿は地球人とは全く異なり、不気味な光を放つ体を持っていた。しかし、彼らは攻撃することなく、静かに人々の前に立ち止まった。 健太郎は唐揚げを揚げる手を止め、宇宙人たちを見つめた。彼らの目は何かを求めるように輝いていた。 「どうしたんだ、宇宙人たち。何か用か？」 すると、宇宙人の一人が健太郎に近づいてきて話し始めた。彼の声は奇妙な響きを持っていたが、不思議と理解できるように感じた。 「我々は地球という星に興味を持ち、交流を求めてきた。しかしながら、我々の体は地球の大気に適応できず、苦しんでいた。あなたたちの唐揚げには、我々の体を活性化させる力があると聞きました。」 健太郎は驚きながらも、宇宙人たちの願いを受け入れた。彼は唐揚げを宇宙人たちに差し出し、彼らが食べる姿を見守った。 宇宙人たちは唐揚げを口に運び、不思議と喜びの表情を浮かべた。彼らの体が光り輝き、徐々に地球の大気に適応していく様子が目に映った。 そして、宇宙人たちは健太郎に感謝の言葉を述べ、円盤に戻っていった。彼らが去った後、人々は驚きと感動に満ちた表情で残された唐揚げを見つめた。 健太郎は思わず笑みを浮かべながら、唐揚げを食べる人々を見守った。彼は自分の唐揚げが宇宙人を救ったのか、それとも宇宙人が唐揚げを求めて地球に来たのか、解明できないままだった。 しかし、健太郎は心の底から満足感を感じていた。彼の唐揚げが宇宙人の命を救ったのだと思えば、それは彼にとって最高の結果だったのだから。