2023/08/18 00:25
短編小説「オマーン国際女子マラソン」
オマーン国際女子マラソン 私は、日本人ランナーの田中美香（みか）として、オマーン国際女子マラソンに参加していた。 オマーンの美しい自然に囲まれたコースは、ランナーたちにとってまさに夢のような場所だった。青い海と白い砂浜が広がり、遠くには壮大な山々がそびえ立っていた。その風景に圧倒されながらも、私は自分の目標に向かって一歩一歩進んでいく。 スタートの合図が鳴り、ランナーたちは一斉に走り出した。私は自分のペースを守りながら、周りのランナーたちと一緒に進んでいった。皆、真剣な表情で前を見つめ、自分の目標に向かって突き進んでいる。 コースは海岸沿いに続いていき、心地よい風が吹いていた。足音と呼吸音が交錯する中、私はひたすら走り続ける。周りの景色は変わらず、まるで時間が止まったような感覚に陥る。 しかし、途中で私の前に現れたのは、一人の少女だった。彼女は見た目は私と同じくらいの年齢で、黒髪をなびかせながら走っていた。彼女の表情はどこか悲しそうで、思わず足を止めてしまった。 少女の姿に心を惹かれた私は、彼女に声をかけた。「大丈夫？何かあったの？」と尋ねると、彼女はにっこりと微笑んで答えた。「私、この大会で初めて走っているんです。ちょっと緊張していたんですけど、一緒に走ってくれませんか？」 私は少女と一緒に走ることを決めた。彼女の名前はアミラといい、オマーンの地元の少女だった。私たちはお互いに励ましあいながら、笑顔で走り続けた。 アミラは初めてのマラソンに挑戦していたが、その走りは驚くべきものだった。彼女の純粋な気持ちと強い意志が、私に勇気と力を与えてくれた。私たちは互いに頑張りながら、ゴールを目指して突き進んでいった。 やがて、ゴールが近づいてきた。アミラと私は手を繋ぎ、力強く駆け抜けた。ゴール地点で私たちは喜びの声を上げ、抱き合った。私たちの走りが、何かを超えた瞬間だった。 オマーン国際女子マラソンは終わりを告げ、表彰式が行われた。私はアミラと一緒にステージに上がり、感謝の気持ちを伝えた。アミラは涙を流しながら喜びを表現し、私たちの友情が深まった瞬間だった。 このマラソンでの出会いが私に与えたものは大きかった。アミラとの友情、彼女の純粋な走りに触れたことで、私の中に新たなエネルギーが生まれた。私は次の挑戦に向けて、さらに前に進む決意を固めた。 オマーン国際女子マラソンでの一日は終わり、私は新たな旅に出る準備を始めた。目標に向かって一歩一歩進んでいく私の姿を見て、人々は共感し、応援してくれるだろう。 私は再びランニングシューズを履き、次の舞台へと向かって走り出した。アミラの存在と出会いによって、私の人生はより豊かなものになったのだと感じた。 そして、私は心地よい風を感じながら、自分の夢に向かって駆けていくのだった。