うどん魔人

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短編小説「うんこ蕎麦」

ある日、町の中心にある小さな蕎麦屋で、とんでもないメニューが登場しました。それはなんと、「うんこ蕎麦」。その名前だけでも驚きですが、その見た目もまさにうんこそのもの。黒々とした蕎麦が、まるで便器から出てきたかのような形状をしていました。 このうんこ蕎麦は、一部の人々の間で話題になり、好奇心旺盛な人々が次々とその蕎麦屋を訪れるようになりました。しかし、実際に食べてみると、その味はなんとも言えない美味しさだったのです。特製の出汁と相まって、不思議なほどに調和していて、一度食べるとやみつきになると評判でした。 ある日、その蕎麦屋には、町の有名な評論家である宮本さんが訪れました。宮本さんは、いつも厳しい目で店舗を評価しており、その評価は店の存亡を左右するほどの力を持っていました。 宮本さんが注文したのは、もちろんうんこ蕎麦でした。しかし、宮本さんはいつものように厳しい表情で蕎麦を食べ始めました。その表情はまるで、まずくて我慢しているかのようでした。 「どうですか、宮本さん？ お味はいかがでしょうか？」店主が心配そうに尋ねました。 宮本さんは蕎麦を噛みしめると、じっと考え込んだ後、にやりと笑いました。 「これはなかなか面白い味ですね。まさに驚きの逸品だと言えるでしょう」 店主と従業員たちは安堵の表情を浮かべました。宮本さんの評価が高いと、この蕎麦屋の評判が一気に広まることでしょう。 「ただし、この蕎麦には一つ問題があります」と宮本さんが続けました。「それは、名前です。『うんこ蕎麦』という名前では、なかなか人々が敬遠してしまうでしょう。もっと魅力的な名前に変えた方がいいと思います」 店主と従業員たちは驚きました。確かに、その名前は少なからず抵抗を感じさせるかもしれません。 「では、どんな名前がいいと思いますか？」店主が尋ねました。 宮本さんは考え込んだ後、にやりと笑いました。 「いいですね、それなら『うんこ蕎麦』ではなく、『ゴールデンスワール蕎麦』という名前に変えてみてはいかがでしょう？」 店主と従業員たちは目を輝かせました。確かに、それならばもっと多くの人に受け入れられるかもしれません。 そして、その日から蕎麦屋の看板には新たな名前が掲げられました。「ゴールデンスワール蕎麦」と。 人々は初めは戸惑いましたが、その美味しさに魅了され、次々とその蕎麦屋を訪れるようになりました。ゴールデンスワール蕎麦は、町の名物となり、多くの人々に愛される存在となりました。 そして、宮本さんの評価も高まり、彼の評論は多くの人々に読まれるようになりました。宮本さんは、その後も様々な店舗を評価し続けましたが、一つだけ言えることは、彼が評価する店は必ずと言っていいほど繁盛するということでした。 「ゴールデンスワール蕎麦」という名前の由来は、もちろんうんこにあるわけではありません。ただ、その名前が人々に好印象を与え、興味を引くことには間違いありません。それはまるで、見た目とは全く異なる美味しさを持つ蕎麦のようなものなのかもしれません。