ある日、私は学校のトイレでひとり泣いていた。身切症のせいで、体中には傷だらけ。血が滴り落ちる音が響く度に、心の中で自己嫌悪の念が広がる。なぜ私だけがこんな病気を抱えなければならないのか。 そんな思いに耐えかねていた時、廊下から靴音が近づいてくる音が聞こえた。誰かがやってきたのだ。私は急いで顔を拭いて、涙を押し込めるようにした。 廊下の扉が開く音がして、中からはクラスメイトの佐藤くんが入ってきた。彼はいつも明るく、周りを笑顔で包む存在だった。 「渚ちゃん、大丈夫? 泣いてるみたいだけど」 佐藤くんの声に、私は自然と涙がこぼれ落ちた。彼は私の病気を知っている。何度も見てきたし、何度も止めようとしてくれた。でも、私はどうしても止められない。それが私の弱さなのかもしれない。 「なんで、なんで私だけこんな病気なの?」 私の声は震えていた。佐藤くんはゆっくりと私の前に座り、優しい表情で言った。 「渚ちゃん、君のことは誰よりも理解しているつもりだけど、それでも分からないこともあるんだ。でも、君が一人で抱え込まなくていいんだよ。僕たちは一緒に頑張ればいいんだ」 佐藤くんの言葉が私の心に染み入る。彼は私を理解しようとしてくれている。私はそんな彼に寄り添われることで、少しだけ救われる気がした。 「ありがとう、佐藤くん。でも、私はどうしても止められないんだ。何度も試したけど、つい手が動いちゃうんだ」 私の声は弱々しく、涙で霞んでいた。佐藤くんは優しく微笑みながら言った。 「それなら、一緒に試してみよう。君が手を動かしてしまう時に、僕が君の手を掴む。そして、一緒に力を合わせて止めるんだ」 私は驚きながらも、佐藤くんの提案に頷いた。彼と一緒に頑張れば、もしかしたら私の病気も少しは改善するかもしれない。 以来、私たちは毎日のように一緒に過ごすようになった。佐藤くんは私の手を優しく掴み、時には笑いながら、時には真剣な表情で支えてくれた。彼の存在が私の心の支えとなり、少しずつ体を切ってしまう回数は減っていった。 ある日、私は学校の屋上で佐藤くんと一緒にいた。風が心地よく頬を撫でる。私は思わず笑顔になっていた。 「佐藤くん、本当にありがとう。君がいてくれたから、私は少しずつ病気と向き合えるようになった」 佐藤くんは微笑みながら言った。 「渚ちゃん、君が変わっていく様子を見るのは本当に嬉しいよ。これからも一緒に頑張ろう」 私たちは手を取り合い、互いに力を与え合った。そして、私は少しずつ病気との闘いに勝つ自信を持つようになった。 身切症が私の一生の伴侶となることは変わらない。でも、私はそれに負けずに生きることを決めた。佐藤くんとの出会いが私の人生に明るさをもたらし、私は少しずつ自分を受け入れられるようになっていった。 「一緒に頑張ろう、佐藤くん」 私は佐藤くんに微笑みかけた。彼も笑顔で応えてくれた。私たちはまだまだ道のりは長いけれど、一歩ずつ前に進んでいくのだろう。