2023/09/07 20:57
短編小説「うんこコイン」
ある日、平凡な高校生である主人公・太郎は、友人から「うんこコイン」という新しい仮想通貨の存在を聞く。興味津々の太郎は、すぐにスマートフォンでアプリをダウンロードし、うんこコインの取引に参加することにした。 うんこコインは、特殊なマイニングアプリを使って、トイレでの「うんこ」を利用して採掘することができる仮想通貨だった。太郎は最初は冗談半分で試してみたが、意外にもコインが採掘されるたびに残高が増えていくのを見て、驚きと興奮が込み上げてきた。 その日から太郎は、学校のトイレにこもりがちになった。友人たちとの会話も、部活の練習も、すべてうんこコインのために犠牲にすることができた。彼は夢中になって採掘作業をこなし、日々の生活の中でうんこコインを増やしていった。 しかし、太郎は次第にうんこコインの虜になっていく自分に疑問を抱くようになる。友人たちとの交流が薄れ、学業や部活もおざなりになり、トイレを出ることが怖くなっていた。太郎は、自分がどんどん孤立していることに気付いた。 ある日、太郎は学校のトイレで採掘作業をしている最中、ふと鏡に映った自分の顔に気づく。顔色が悪く、目は血走っていた。太郎は自分がいかに狂気に取り憑かれていたかを思い知る。うんこコインのために、自分の健康や人間関係を犠牲にしていたことに気付いたのだ。 太郎は慌てて採掘作業をやめ、トイレを出る。外の空気を吸い込むと、まるで長い時間ぶりに解放されたような気持ちになった。彼は友人たちと再び会い、学校生活に戻ることを決意した。 しかし、太郎の選択は後悔と苦悩をもたらすことになった。うんこコインの価値は急落し、取引所でも取引が停止されてしまったのだ。太郎は自分の愚かさに涙を流し、友人たちに助けを求めるが、彼らはすでに彼を見放していた。 太郎は絶望感に打ちひしがれながらも、新たな目標を見つけることができた。彼は自分の過ちを乗り越え、新たな人間関係を築き、人生をやり直すことを決意したのだった。 このように、太郎のうんこコインへの執着は彼の人生を狂わせる結果となった。夢中になってしまうことは誰にでもあるかもしれないが、大切なものを見失わないよう、常にバランスを保つことが重要であることを物語は教えてくれる。