ある晩、孤独な山奥の小屋に住む老人、田中勇一は、テレビで報道される麻原彰晃の死を知った。田中はかつてオウム真理教に家族を奪われ、自らも洗脳を受け、命を狙われるほどの苦しみを味わっていた。麻原の死を聞いた瞬間、彼の心には複雑な感情が湧き上がった。 しばらくして、田中のもとに一通の手紙が届いた。差出人は「麻原尊師」と記されている。驚きながらも、彼は手紙を開封した。手紙には麻原の執務室で撮影されたと思われる写真が添えられており、その中には田中自身の写真もあった。 手紙の中には次のように書かれていた。 「田中勇一様へ、お久しぶりです。私はあなたがよく知っている麻原彰晃です。私の死を聞いて驚かれたことと思いますが、私はまだ死んでいません。この手紙を受け取ったら、私に逢いに来てください。あなたが私を殺すことができるならば、私はあなたの前に立ちます。」 田中は手紙を読み終えると、深い疑問と恐怖が心を支配した。彼は麻原の死を確認するため、そして自分の過去と向き合うため、山奥の小屋を出発する決意を固めた。 数日後、田中は麻原の指示通り、山奥の廃屋に辿り着いた。廃屋は不気味な雰囲気に包まれ、草木や蜘蛛の巣が乱れていた。田中は怯えながらも、勇気を振り絞り、廃屋に足を踏み入れた。 廃屋の中は暗く、ひどい腐敗臭が漂っていた。田中は懐中電灯を手に取り、進む。すると、奥の部屋から麻原の声が聞こえてきた。 「田中勇一、よくぞここまでたどり着いた。私が実在していることはおわかりいただけましたね」 田中は声のする方へと進むと、部屋の奥に麻原が立っていた。彼は田中の姿を見つけると微笑みながら話し出した。 「田中勇一、私はあなたに特別な力を与えることができます。あなたの家族を取り戻し、過去の傷を癒すことができるのです。ただし、その代わりに私にお手伝いをしていただきたいのです」 田中は驚きながらも、どのような力を求められているのかを尋ねた。 麻原はにやりと笑いながら言った。 「あなたには人々を殺す力を与えます。特殊な能力を持つ者たちが現れ、社会を混乱させているのです。彼らを排除し、私たちの真理を広めてくれるのです。それができれば、あなたの家族を取り戻すことができます」 田中は言葉を失った。自分が他人を殺すことを求められるなんて、考えもしなかった。しかし、家族を取り戻すためにはどんな手段を使ってでも必死にならなければならないと思った。 そして、彼は麻原の提案に応じ、人々を殺すための特殊な力を与えられた。 田中は次第に凶暴化し、人々を次々と殺していった。彼の手によって、特殊な能力を持つ者たちは次々と消えていった。しかし、田中は自分が元々の目的を見失っていることに気づく。彼はただ単に麻原の言いなりになっていたのだ。 ある日、田中は再び麻原のもとを訪れた。彼は怒りに満ちた声で問い詰めた。 「何のために私に力を与えた!?家族を取り戻すためではなかったのか!?」 麻原は冷笑しながら答えた。 「田中勇一、私はあなたの家族を取り戻すことは約束しませんでした。私はただ、あなたに復讐の機会を与えたのです。あなたが私を殺せるならば、あなたの家族が生きていることを教えましょう」 田中は絶望の底に沈んだ。彼は自分がただの道具であり、麻原の手先に成り下がっていたことを思い知らされた。彼の心は憎しみと後悔に満ち、彼は麻原への復讐心を抱くようになった。 それから数年後、田中は麻原尊師の命日に彼の墓前に立っていた。彼は手に持った小さな包丁を握りしめ、心の中で囁いた。 「麻原尊師、私は必ずあなたを殺す。そして、家族と共にあなたの魂を永遠の地獄へと送ります」 田中の目は冷たく光り、彼の復讐の道はまだ続いていくのだった。