翔吾と志歩は、同じ家に暮らす兄妹だった。翔吾は幼い頃から屍病という病気にかかってしまい、身体はいつも脱力した状態だった。彼は一生をベッドの中で過ごさなければならない運命に縛られていた。 しかし、翔吾はその状態でも諦めずに生きていた。彼は頭の中で夢を描き、それを実現するためにできることを考えていた。彼の夢は、本を書くことだった。翔吾は指先だけが動くことができたので、指先でキーボードを操作し、文字を打ち込むことで物語を紡いでいった。 志歩は翔吾の姿を見て、いつも心が痛んでいた。彼女は妹として、翔吾の夢を応援したいと思っていた。そんな志歩は、屍病のためのチャリティイベントを企画した。彼女は地元の人々に呼びかけ、屍病の研究や支援活動に寄付を募った。 志歩は一生懸命に寄付を集めるために奔走した。彼女は学校や地域の人々に募金箱を配り、寄付を募るポスターを作成し、SNSで広報活動を行った。志歩の情熱と努力は、多くの人々の心に響き、寄付金は次々と集まっていった。 翔吾は志歩の姿に感動していた。彼は自分自身が何もできないことを痛感しながらも、志歩の活動を見て心が温かくなった。彼は自分の夢を志歩に託し、彼女に力を与えたいと思った。 そして、チャリティイベント当日がやってきた。会場は多くの人で賑わっていた。志歩は翔吾の代わりにスピーチを行い、彼の夢を語った。彼女の言葉は、会場中に広がり、人々の心を揺さぶった。 イベントは大成功に終わり、集まった寄付金は屍病の研究や患者支援に使われることとなった。志歩は喜びに満ちた表情で翔吾の元に戻った。彼女は翔吾の手を握り、感謝の気持ちを伝えた。 翔吾は志歩との触れ合いを通じて、自分の存在が意味を持つことを実感した。彼は一生力を入れることのできない状態で生きることに悔いはなかった。なぜなら、彼は志歩という存在と出会い、彼女と共に夢を追い求めることができたからだ。 翔吾は三十路を過ぎたある日、静かにこの世を去った。しかし、彼の物語は志歩の心に永遠に残ることだろう。彼の夢は、志歩が引き継ぎ、彼の思いを受け継いでいくのだ。 志歩は翔吾の夢を胸に抱き、彼のために生きることを決めた。彼女は翔吾の代わりに本を書き続け、屍病の研究や支援活動を続けることを誓った。 翔吾と志歩の物語は、屍病という厳しい現実に立ち向かう苦悩と希望の物語だった。彼らの姿勢や努力は多くの人々に勇気を与え、心を動かした。この物語は、屍病の闘いの中で輝く兄妹の絆と夢を描いたものだったのだ。