昔々、大海原には美しい人魚たちが住んでいました。彼女たちは透明の海の中で自由に泳ぎ、美しい歌声で海を彩っていました。 ある日、人魚たちの住む海に突如として現れたのは、砂遊びが大好きな魔王でした。魔王は黒いローブをまとい、長い黒髪が風に舞っていました。彼は手に持った杖を使って砂を操り、大きな砂の城を作り上げていきます。 人魚たちは最初は驚きましたが、すぐに魔王の砂の城を見るのが楽しくなり、彼の作品を見に集まるようになりました。魔王の砂の城は美しい彫刻や模様が施され、まるで夢のような世界を作り出していたのです。 ある日、人魚の中で特に美しい歌声を持つアリアという人魚が、魔王の砂の城に興味を持ちました。彼女は魔王の作品を見るだけでなく、その美しい砂の中に入ってみたいと思いました。 アリアは魔王に頼んで、自分が砂の城の中に入ることを許してもらいました。魔王は快く承諾し、アリアを砂の中に入れると、彼女はまるで砂の中を泳いでいるかのような感覚を覚えました。砂は彼女の体をやさしく包み込み、砂の中にいることで魔法のような力を得たような気がしました。 その日以来、アリアは毎日のように魔王の砂の城に通い、砂の中で歌い踊りました。彼女の歌声はますます美しくなり、砂の城の中にいるときには、まるで響き渡るような力強い声を持つようになりました。 それを見た魔王は驚き、アリアの歌声が自分の作品に新たな魅力を与えていることに気づきました。彼はアリアに頼んで、砂の城の中で歌ってほしいとお願いしました。 アリアは喜んで応じ、砂の城の中で歌い始めました。彼女の声は砂の中で共鳴し、美しい音色が広がりました。魔王は感動し、彼女の歌声に魔法の力が込められていることを確信しました。 そして、魔王はアリアに特別な力を授けることを決めました。彼はアリアを砂の中から解放し、彼女の体に砂の粒子を少しずつ与えました。すると、アリアの体は透明な砂のようになり、彼女は砂の中を泳ぐことができるようになったのです。 アリアは感謝の気持ちでいっぱいになり、魔王と一緒に海の中で砂遊びをするようになりました。彼女の美しい歌声と魔王の砂の城が交差し、大海原はますます美しく輝きました。 そして、人魚たちと魔王の砂遊びが広まり、大海原は喜びに包まれました。砂遊び魔王と人魚たちの交流は、永遠に続くことを誓い合ったのでした。