廃人症と呼ばれる病気は、歳を重ねるごとに生きる意味や自分自身への興味が薄れていく、不治の病である。この病気にかかれば、20代付近で必ず自殺という結末を迎える運命が待っていると言われている。 少年月村光もまた、廃人症に冒されていた。彼は自分自身の心や精神が次第に廃れていく様子を感じながらも、死にたくないと必死にもがいていた。しかし、廃人症の進行は避けられず、彼もやがて自殺を選ぶ道を選ばざるを得なかった。 光は自殺を選ぶ決意を固めると、彼の周りには悲しみや絶望が漂っていた。家族や友人たちは、彼の選んだ道に抵抗することなく、ただただ彼を悲しむしかなかった。彼らは自殺を救済と捉え、光が辿る運命に対して何もできない無力感に苛まれた。 しかし、光自身もまた、自殺を選ぶことに対して複雑な思いを抱いていた。彼は死ぬことで周りの人々を救うと信じていたが、同時に自らの命を絶つことに対しても葛藤があった。彼は自分の心が廃れていく様子を嘆き、なぜこの病気に冒されなければならなかったのかと疑問を抱いた。 光の最後の日々は、孤独と絶望に包まれていた。彼は自殺を選ぶことで自らの苦しみから解放されることを望んでいたが、同時に死にたくないという思いも内に秘めていた。自分の意志を取り戻すことができれば、廃人症を克服することができるのではないかという希望もあった。 そして、ついに光は自殺を遂行する日がやってきた。彼は家族や友人たちに最後の別れを告げ、静かに旅立つ準備を進めていった。彼の心は複雑な感情に揺れ動きながらも、決断を固めていた。 自殺の日、光は一人静かに海岸に立っていた。波の音が耳に心地よく響き、風が彼の髪を撫でる。光は深呼吸を繰り返し、心の中で最後の言葉を告げた。 「ありがとう、そして、ごめんなさい」 そして、光は勇気を振り絞り、海へと身を投げた。 しかし、その瞬間、光の心には一瞬だけ、生きる意味や自分自身への興味が戻ってきたような気がした。そんな気がしただけで、彼は自分の死に幸福を綴った。